宇宙はヒロインになった。
なぜなら地球から発信されるテレビ電波を見て、可愛くて強い戦闘ヒロインに憧れたからだ。
「あなた悪役やってよ」
宇宙は、平行宇宙に頼んだ。
平行宇宙は閉口した。宇宙達が、正義だ悪だとやったら宇宙の役目が果たせない。
そこで平行宇宙は一計を案じて、可愛くて強い戦闘ヒロインが悪として討伐される惑星を見せた。それもまた宇宙に実在する惑星だった。
「きゃー、可愛くて強いはずなのに悪として討伐されてる」
「そういう惑星もあるんだ。これでも、宇宙はヒロイン?」
宇宙はため息を付いた。「宇宙は広い」
(遠野秋彦・作 ©2016 TOHNO, Akihiko)